織姫と彦星

織姫と彦星

 「七夕」といえば、天の川を挟んで夜空に輝く「織姫」と「彦星」が年に一度だけ会う事を許された話が有名です。これも元は中国から伝わった話で、西暦三十年から二百二十年に栄えた「後漢」という国から「星伝説」として語られ始めたと言われています。
 話の殆どは同じですが、やはり中国と日本では少し違う所があります。まず、登場人物の名前です。私達が知っている「織姫」と「彦星」という名前は、夏の星座としても有名な「こと座のベガ」と「わし座のアルタイル」の和名で、中国では「織女(しょくじょ)」と「牽牛(けんぎゅう)」と言います。また、中国では織姫は「天帝」という創造主の娘であり、二人は身分違いの恋をしていた事になっています。

 しかし、この二つの星から「星伝説」が生まれて「七夕」の象徴になったのには、天文学的な理由があります。それは、この話が生まれた中国では、古くから「彦星」は農業に適した時期になると明るくなるので、そこから「農事」の基準とする星をして、同じ時期に天の川を挟んで明るくなる「織姫」を養蚕(ようさん)や糸・針の仕事を司る星と考えるようなりました。
 この事から、日本でも農業が本格的になる時期と、星が良く見える夜に「七夕」を行う様になったのです。

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