五色の短冊

五色の短冊

 「七夕飾り」の代表ともいえる短冊は、現在では様々な形や色の物が広まっています。しかし、まだ日本に「七夕」という行事が出来たばかりの頃は、竹には紙で作った短冊ではなく、五色(ごしき)の糸を飾っていました。これが今も歌に残っている「五色(ごしき)の短冊」の始まりです。

 この「五色(ごしき)」とは、中国の陰陽道から生まれた自然を表す「五行説」に因んだもので、「青」・「赤」・「黄」・「白」・「黒」が使われていました。それぞれ、青が緑の「木行」、赤は炎の「火行」、黄は大地の「土行」、白は土に埋まっている金属の材料となる鉱物の「金行」、黒は命を育む水の「水行」を表しています。また、この五つの色は人が持っているべき五徳(ごとく)という教えも表しているとも言われています。
 ですが、この五色に後から全てをまとめる「色」として、古くから「最上の色」と言われていた「紫」が加わり、その代わりに黒が使われなくなっていきました。

 それから、最初は糸だった飾りが「絹の布」になり、次は「詩」や「歌」に変わり、演奏や書画も加わる様になりました。しかし、「七夕」の風習が民衆に広がる頃には、そんな高価な物などは用意できないので、紙の短冊が使われるようになったのです。

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