新年と若水(わかみず)

新年と若水(わかみず)

 この「若水(わかみず)」というのは、元旦の最も水が澄んでいるとされる午前四時頃に汲む水の事です。この「習わし」が始まったのは平安時代の頃で、正月の神様がやってくる方角の「恵方(えほう)」にある井戸から水を汲んで、天皇の朝食に出すのが最初でした。しかし、それが後になって「恵方」から水を汲む事から元旦の朝、最初に汲む水を指す様になりました。

 一説には、この「若水」を飲むと生気がみなぎって、厄除けになると考えられています。そのため、正月にやってくる神様への供え物や、家族の口に入る食べ物や飲み物を作る際に使われる事もあります。

 また、この「若水」には「初穂水」・「福水」・「宝水」・「黄金水」など様々な呼び名があります。更に、元旦に「若水」を汲みに行く作業は「若水迎え」と呼ばれ、元旦行事の一つになっています。

 これは、その年の「年男」か一家の主や長男といった「男性」の役目でしたが、県や地域によっては女性がする所もあります。また、水を汲み上げる時も場所によって様々な事が行われます。

 例えば、円餅(まるもち)を若水桶に入れたり、桶に汲んだ若水を汲む時は新しい手桶や柄杓(ひしゃく)を使ったり、その手桶などに縁起物の絵や文字を書いたりします。更に汲んできた若水は最初に神仏に捧げ、ロをすすいで身を清め、それから食事用に使うのが一般的だったそうです。

関連コンテンツ

スポンサードリンク